ハッピープライド月間

「聖霊病院聖堂」洋風建築に施された金沢らしい和がある教会

 長町武家屋敷跡から近い聖霊病院聖堂で、金沢の洋風建築も味わいませんか?聖霊病院聖堂は現役の教会なので、訪れる際は注意が必要ですが、昭和初期に建てられた日本の洋風建築を観ることができます。洋風建築ですが、随所に和を感じる部分もあるので、金沢らしい教会を少しだけ紹介していきます。

歴史とスイス人建築家

 聖霊病院聖堂は修道院付属の教会として、スイス人建築家のマックス・ヒンデルによって設計。マックス・ヒンデルは登録有形文化財のカトリック神田教会(東京都千代田区)や旧南山中学校本館(愛知県名古屋市)などの、教会を中心に日本国内の多くの建築に携わりました。

 昭和6年(1931)の昭和初期に聖霊病院聖堂は建設され、現在は県指定の文化財として、現役の教会としてミサなども行いながら、一般の方にも解放されています。

ロマネスク様式の洋風建築

 聖霊病院聖堂はイギリスやフランスなどの西ヨーロッパで10世紀ごろから流行していた、 ロマネスク建築様式を取り入れた建築です。聖霊病院聖堂の中に入ると、ロマネスク建築様式の特徴のひとつでもある、アーチ状になっている天井が一目瞭然。そのほかにも、カトリック教会らしく、窓はステンドグラスでできており、朝にはステンドグラスから差し込む美しい光が楽しめます。

隠れた日本や金沢の伝統要素

 天井にはイネの一種である、葭(あし、よし)を編んだものを下地にし、その上から漆喰を塗った場所があったり、柱には漆塗りを使用するなどといった日本の伝統的な建築技術が随所に使われています。また、支柱には本物ではないが、金箔をイメージした色合いにもなっていたり、金沢では群青の間が有名であり、群青色を使っていたりと、金沢ならではの雰囲気を醸し出します。

 そして、建設されたのは昭和初期ということもあり、当時の日本人の暮らしに合わせて、右側は畳敷き、左側は椅子になっています。畳が敷いてある教会は九州を中心にありますが、左右で畳と椅子が並んでいる珍しい造りでもあります。

最後に

 金沢での観光はどうしても、日本らしい伝統家屋や工芸品を求めがち…ですが、意外にも金沢には多くの伝統的な西洋建築があります。聖霊病院聖堂は小さな教会ですが、長町武家屋敷から近い場所でもあるので、ぜひ立ち寄ってみてくださいませ。

聖霊病院聖堂

せいれいびょういんせいどう

石川県金沢市長町1丁目5−30

9:00 ~ 17:00
※行事などある際はご入場できません。

香林坊バス停
金沢ふらっとバス(長町ルート) 聖霊病院・聖堂バス停

10 文化ホール

13 長町